800mの練習方法

800mの練習は様々ありますが、まずはこれという考え方を共有していきます。

大前提

800mに限らず、どの種目も記録を伸ばすには基礎を築く必要があります。これはもう間違いない。それが冬季練習なんですけど、800mはそこが難しいんだ。

ある選手は有酸素ベースを伸ばして伸ばすし、ある選手は短距離を伸ばして伸ばす。僕自身、どっちのやり方でも伸びたことがあるのでどっちが正しいということはないと思います。なのでそういう言及は避けますが、ある条件下ではどちらかのほうが正しい場合も存在するはずです。いろんなところでいっているし、これからも言い続けようと思いますが、800mで1分台を出すには400mで53秒台はほぼ必須だと思います。そんな感じで、絶対的な指標は少なからず存在するということを頭に置いておくべきです。

さて、短距離ベース、長距離ベースの2つの視点から書いていこうと思います。

短距離をベースにした練習方法

練習は冬季練習から始まるものとします。時期でいえば9月~11月あたり。そこは人によると思います。また、狙う試合も人によると思うので今回は一貫して、11月に冬季練習が始まり、4月にシーズンイン、5月、6月の試合を目指すものとします。

大まかな流れは
11月~1月→基礎筋量を増やす期間、有酸素系
2月~3月→筋力を増やす期間、解糖系
4月~5月→実践的な練習、調整

んま、こんな感じ。1つずつ深堀ます。

11月~1月

スピードを身に着けるには筋量が増えないといけません。なので、高校生以上であれば、臀部、ハムストリングス、肩甲骨周りを中心にウェイトをするといいと思います。
BIG3と呼ばれる、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスを10回3セット~5セットくらい。
3か月も続ければかなり筋肉がつくし、それが2月以降の土台になるので週2回を目安に継続していきましょう。

また、ランのほうは1000m前後の距離を3本~5本程度で回したり、200m10本などのフォームを意識したテンポ走でフォームを固めましょう。
短距離のように60m~100mの距離を間30秒程度で10本反復するような練習もいいと思います。
ここでの目的は速筋内のミトコンドリアを増やすことにあるのでポイント練習は遅すぎないように、ある程度速いペースを意識しましょう。ジョグはポイントやウェイトをしない日につなぎとして入れておくと有酸素ベースも崩れすぎません。

2月~3月

ウェイトは量中心から質中心に変えていきます。具体的には重さを変える。5回ギリできるくらいの重さで3セット~5セット行っていきます。こうすることで筋力がついてスピードを出す土台ができてきます。

ランは解糖系を行っていきます。解糖系とは30秒~40秒程度の運動で糖を中心に使い、乳酸を発生させる運動です。
距離でいえば200m~300mで疾走区間の合計が2000mくらいになるように調整するといいでしょう。

具体的なメニューは
250m×4×2 r=4分, R=15分
200m×10 r=5分
300m×3×2 r=3分, R=15分
400m×5 r=5分
こんな感じ。まぁ30秒~40秒で疾走区間が短すぎなければなんでもいいと思います。ただ、2セットなどに分けたほうが質を担保出来てやりやすいです。最後はケツワレができたら上出来ですね。

この辺からスパイクを履きだしていいと思います。

4月~5月

いよいよシーズンインです。試合に出ながら、練習も実践向きのものを増やしていきます。
ウェイトに関しては3月までにやり方で週1回程度でいいと思います。メインは走ることなのでウェイトはあくまで筋力維持という役割でいいでしょう。

ランメニューは実践向き。
具体的には
600mや1000mのTT
400m×2×2 r=1分, R=15分
600m×2 R=20分
500m×3 R=20分

設定タイムはすべて800mのレースペース。
ですが、余裕を持つことを頭に入れながらやりましょう。目標レースペースを設定タイムにするとどうしても力が入ってしまうし、レースでそうなってしまっては意味がないので目標タイムのイーブンペースくらいがちょうどいいです。1分55秒を目指すなら600mを1分24秒で行くより、1分26秒で少し余裕があるほうが気持ち的にも楽でレースをイメージしやすいです。

こういった練習を週1回~2週間に1回程度。もう1回のポイント練習はインターバルや解糖系で繋げばちょうどいいと思います。週の残りの日はジョグしたり、ウェイトしたりしてできるだけ疲労をためないようにマネジメントしましょう。試合期は精神的にしんどくなりがちなのでできるだけ身体的な疲労は少なくしていきたいです。

長距離をベースにした練習方法

先ほど同様、11月から始まり、4月にシーズンイン、6月あたりのレースを狙うつもりで書いていきます。

11月~1月→有酸素系、ジョグやLT
2月~3月→LT以上のペースでのインターバル、解糖系
4月~5月→実践的な練習、調整

基本的な流れはほぼ同じです。

11月~1月

まずはジョグで有酸素のキャパを広げていきましょう。
10月までの月間走行距離より少しだけ伸ばすようなイメージで増やしていきましょう。月300キロ~400キロくらいまで伸ばせれば充分だと思います。月あたり50キロずつ程度なら伸ばしていけます。
ポイント練習はほぼLTペースを超えないあたりで行うといいでしょう。

ここで重要なのは強度設定です。LT系の練習では心拍数が180を超えないようにするのが1つ目安になるかもしれません。週2回LT系の練習で各10キロずつくらいの練習をするとして、平均心拍は160前後に抑えることが重要です。それを超えてしまうと別の刺激になってしまい、必要以上に疲労がたまってしまったり、逆にLTが伸びなくなってきてしまいます。

また、週1回のロングランと坂ダッシュも有効です。LTとジョグだけではなかなか有酸素ベースは伸びてこないので普段のジョグより少し多いくらいの量を走りましょう。月に300キロ走る人なら16キロ~20キロくらいでしょうか。
坂ダッシュはスピード維持とフォーム矯正、心肺刺激のために行います。いつか別の記事にしますが、坂を使うことは中距離選手にとって極めて重要であると考えています。100m~200mくらいの坂で間をジョグで繋いで10本~20本程度でいいと思います。

月曜日→LT走
火曜日→ジョグ
水曜日→ロングラン
木曜日→ジョグ
金曜日→LT走
土曜日→坂ダッシュ
日曜日→休み

こんなかんじで充分でしょう。正直年が明けるまではジョグ中心でもいいかもしれません。どれだけ多く心臓を使うかで有酸素の伸びが変わるので心拍数160回で40分走るより、130回で60分走ったほうが心臓の心拍回数が多いのでまずは量をこなすことを意識しましょう。
普段の練習の後にダッシュすることも忘れずに。

2月~3月

ここではインターバルを中心に心肺を刺激しながら、解糖系も少し入れていきます。

そもそもなぜ有酸素キャパを増やしたのかといえば、それは遅筋内のミトコンドリアを増やして乳酸を除去しやすくするためです。そうすることで速いペースになった時に耐えられる身体を作ることができます。インターバルや解糖系で速筋内のミトコンドリアを増やしながら、遅筋内のミトコンドリアを利用することがこの時期の役割です。

メニューは週2回のインターバルと1回の解糖系が中心です。

具体的には
300m×10 r=1分
400m×10 r=400mジョグ
などで、シンプルに考えていいと思います。
心拍数を180以上まで上げられる、疾走区間の合計が3000m~4000m程度になる、1500mのレースペース付近で走り切れる、間が長すぎない、このあたりの条件をクリアしていればなんでもいいでしょう。
解糖系に関しては短距離ベースのところに書いてあるようなやつでいいと思います。

ジョグは継続して、月間走行距離は落ちすぎないようにしましょう。インターバルの代わりにLT系の練習をする週があってもいいと思いますが、そこまで重要度は高くないので、ポイント練習の前後に余裕があったらやるくらいでいいでしょう。

4月~5月

ここは短距離ベースとほぼ同じでいいと思います。
異なるところでいうと月間走行距離でしょうか。ここもできるだけ落としすぎないようにしたいですが、試合前の調整に入ると半分くらいまで落ちるので気にしすぎるのも良くないと思います。

インターバル系の練習は1500mのレースペースを意識して質は落とさないようにして実践的な練習の質も確保することが大切です

まとめ

どちらのアプローチも正しいと思いますし、間違ってるとも思います。
これらの内容がすべて正しいとは思いません。
しかし、基本的な考え方として「比較的劣っている能力を伸ばす」というのは持っておくべきでしょう。


特にスピードがない選手、有酸素系が得意な選手は意識してスピードを鍛えなければ永遠にスピードがつくことはありません。中高生が成長期に伴ってスピードを身に着けることはあるかもしれませんが、それ以上の年代の方はそうはいきません。スピードに苦手意識がある場合はそこを改善するだけで相当伸びると思います。

結局、自分で考えて取捨選択をしましょうってことですな。

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