中距離における400mの重要性

400mは800mだけでなく、すべてのトラック種目に必要な指標であると言えると思います。当然、距離が延びるほどその重要度は少なくなるはずだが。少なくとも800m、1500mには必須の指標になります。では具体的になぜ必要なのかを様々な視点から考察してみます。

生理学的視点

よく各種目を無酸素、有酸素の割合で示すことがあります。多くは400mが50%解糖系、残りの半分をATP-CP系と有酸素系で分け合う。800mは無酸素が4割で有酸素が6割。1500mは8割前後が有酸素になります。これは競技の持続時間から各エネルギー回路の持続時間を考慮して出されたものです。
スタートして数秒はATP-CP系が優位に働く。クレアチンリン酸を使うやつ。100mはほぼこれ。
次に40秒あたりまで解糖系が働く。糖から乳酸を作ってエネルギーを生む。乳酸がたまるので800mで300mあたりに1回ピークが来るのはこいつが原因。
最後に有酸素系。乳酸を処理する。長距離は9割以上がこれにあたるので短い距離ほど軽視されがち。

となると、中長距離は有酸素系を伸ばせばいいように見えるが、それは早計であると言えるはずです。有酸素系はあくまで解糖系などで発生した乳酸を処理し、筋肉を酸性に傾かないようにする能力であるので、ここが高いに越したことはありませんが、ここだけ伸びても仕方のない部分でもあります。そうなるとまずは乳酸を発生させる能力、すなわちATP-CP系~解糖系あたりの能力が伸びないと有酸素系のみで伸びる範囲には限界が出てきます。距離でいえば200m~400mあたりが速いとかなり800mもいい線行くと思います。逆にここが伸びないまま有酸素ばかりやっていても仕方がないです。

また、もう1つの理由として、試合では速筋繊維を多く使うということがあります。スピードが上がれば上がるほど速筋繊維を多く使うのは理解しやすいと思います。しかし、有酸素系の練習は基本的に速くてもLTよりちょっと速いくらい、乳酸がたまるかどうかのギリギリである場合が多いはずです。ということは遅筋繊維が多く働き、乳酸をためまいとする働きが強くなっています。これはレースとかけ離れている。もちろん、この土台の上に解糖系などの練習をしたほうが効率はいいでしょう。しかし、シーズンを通してそういった練習をすることはあまりに非効率的であると言えます。なので、シーズンが近づくにつれて速筋繊維を多く使うような練習を増やしたほうがいいでしょうし、場合によっては冬季を短距離に振ってもいいと思います。結局、速筋内のミトコンドリアの量が速いペースでの余裕度を生むので。

直感的な視点

ちょっと論理的な視点からはずれますが、直感的に短距離が速いほうがトラックレースに余裕が生まれると思いませんか?

例えば400mを50秒で走る人と55秒で走る人が800mの1周目を60秒で通過すると考えると、前者は10秒、後者は5秒の余裕があります。当然、前者の10秒のほうが余裕度としては大きく、余裕度という視点で揃えると後者は65秒で通過しなければいけません。そうなると800mというレースにおいて大きな差が生まれるはずです。極端な例かもしれませんが、実際にこういう2人がいたら800mのタイムは10秒以上違ってくるでしょう。

そしてこれは1500mにも同じことが言えます。400mが速いということは800mの速さにつながる。そうなると1500mにおける800m、1000m通過にも余裕度に差が生まれます。1分55秒の人と2分の人の間であってもその差は大きいです。

そういった意味でも400mの速さは必要になるでしょう。

経験的な視点

僕自身、400mが速くなったときは800mのタイムもかなり上がりました。初めて1分台を出した高1の夏、その時のマイルラップは52”5くらいでした。中3の最後の県大会は400mと800mで出場してそれぞれ55秒と2分06秒だった気がします。中3と高1の間に特別短距離の練習をした記憶はありませんが、800mのタイムが上がるときは400mのタイムも上がっていました。
それは1分59秒から1分55秒に伸びたときもそうです。1分59秒だったシーズンの最後に出たマイルのラップは51”5くらいでした。その冬に僕は400m系の練習を織り交ぜながら練習しました。シンプルに100mが速くなり、結果的に800mは1分55秒まで行き、マイルラップも49秒台に突入しました。練習をしていても400mを60秒で走るような練習がかなり楽に感じました。

また、別視点で5000m以上の距離が速い友人数名を例として挙げます。14分台3人、15分30秒切り3人がいましたが、彼らの1500mの自己ベストを並べると軒並み4分05秒切り。1人だけ4分20秒がいて、その人は15分1桁でずっとくすぶっていました。10000mとかは30分台で走ってましたが。さらに彼らのマイルラップ、52秒フラットが3人、54秒前後が2人でした。その人たちは800mには出ていませんでしたが、まぁ1分台は出てたでしょう。
このことから5000mでは1500mのタイムが大事になるし、1500mのタイムは400mの速さに起因すると言えると思います。そこに何か根拠があるわけではないのであくまで経験則にはなりますが。

とはいえ

有酸素系が重要なことも間違いないです。400mだけをやっていてもどこかで頭打ちになるはずです。

しかし、自分の短所としてスピードがあるなら、確実に克服するべきです。それは800m、1500m選手であればなおさら。逆に有酸素が苦手なのであればそれも克服すべきと思います。要は自分の短所はなくそうってことですな。

レベルが上がれば上がるほど、タイムが短くなり、無酸素系の能力の貢献度合いは大きくなるはずです。それと同時に無酸素系の伸び具合も小さくなっていきます(例えば400m48秒を46秒にするのはかなり難しいため)。しかし、有酸素系はやるだけ伸びます。そこのバランスは難しい所ではあるし、正解はないと思うので自分なりに理由付けをして正解にするというのも1つ手ですよね。
っていうか陸上の楽しい所ってそういうところでもありますよね。

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